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原広司『空間〈機能から様相へ〉』

はじめに、閉じた空間があった-と私は発想する。この閉じた空間に孔をうがつこと、それがすなわち生であり、即ち建築することである。閉じた空間は、死の空間であって、世界とのいかなる交換もなく、なにものをも媒介しない。境界は、絶対的に強く、私は偶然にもほんの瞬間、境界を破ることが許された。私は、生きた記念に建築し、無数の人々の建築を見る。建築は。ことごとく孔をうがたれた空間であって、建築の内部と外部には、光や風がゆき来して、人が訪れ、子供たちが出てゆき、五月の香りが流れこんで、母親の乳がわき出た。人々は、境界を飾り、細工をほどこし、巧妙な仕掛けにまで育てあげた。「境界論」

空間―機能から様相へ (岩波現代文庫)
原 広司
岩波書店
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