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新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』

最近、両親のことを思いかえすことが増えた。
 わたしは、子どものころに両親の生き方をよく否定していた。そして、日本社会のスタンダードな生き方は、サラリーマンの男性と専業主婦の女性だと思っていた。
  そして、現実の社会は、わたしの想いと同じ方向に進んでいった。両親のような「地方で商売をする」という生き方がなくなった日本には、安定した自営業がほ とんど存在しなくなった。その結果、わたしの出身地――いや日本全体に、不安定な生き方を余儀なくされた者が残されてしまった。では、正社員にたどり着い ている者が幸せなのか。正社員を基軸にして社会を形成してしまった結果、今の日本に住んでいるだれもが、将来の日本社会をどのようにポジティブに描いてい けばよいのか、途方に暮れているのが現状である。p217