丸山 眞男『日本の思想』

自由人という言葉がしばしば用いられています。しかし自分は自由 であると信じている人間はかえって、不断に自分の思考や行動を点検したり吟味したりすることを怠りがちになるために、実は自分自身のなかに巣食う偏見から もっとも自由でないことがまれではないのです。逆に、自分が「捉われている」ことを痛切に意識し、自分の「偏向」性をいつも見つめている者は、何とかし て、ヨリ自由に物事を認識し判断したいという努力をすることによって、相対的に自由になり得るチャンスに恵まれてることになります。p156


日本の思想 (岩波新書)
丸山 真男
岩波書店
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