2014-03-19 塚本邦雄『異国美味帖』 私はイタリアに詳しいわけではない。四度ばかり、それぞれ半月前後をかの地で過したに過ぎぬ。北はミラノ、南はマテーラ、東はアルベロベッロ、西はパレルモあたりを限りとして、コモも未踏、レッチェもタラントも知らず、コルシカやサルディーニャにも渡っていない。だが、そのマテーラやアルベロベッロ、あるいはシチリアのシラクーサやアグリジェント、ウンブリア地方のプルージアやアッシジで飲むエスプレッソのうまさは形容を絶する。それも別に「喫茶店(キャフェ)」などではなくて、客が十人も入ったら満員の「バール」で、砂糖散乱するカウンターの上へ、無造作におかれるエスプレッソが、例外なくうまい。 異国美味帖posted with amazlet at 14.03.05塚本邦雄 幻戯書房 売り上げランキング: 559,026Amazon.co.jpで詳細を見る