森浩一『諸王権の造型』

これは推定にすぎないが律令時代になると各地域のさまざまな特色を考えることなく、租庸調という一律の税制を実施したことから、しだいに潟を維持する努力が失われ、港としての潟の機能が低下し、日本海地域の繁栄を支えた水上交通網の機能が低下することになる。とくに出雲において河川上流の中国山地で砂鉄精錬が大規模化するにつれ、大量の土砂が流出し、それによって潟の機能低下にいっそうの拍車がくわえられたであろう。