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白洲正子『縁あって』

…る。 牛が住んでいた土間を、洋間に直して、居間兼応接間にした。床の間のある座敷が寝室に、隠居部屋が私の書斎に、蚕室が子供部屋に変わった。子供たちも大人になり、それぞれ家庭を持ったので、今では週末に来て、泊まる部屋になっている。あ くまでもそれは今この瞬間のことで、明日はまたどうなるかわからない。そういうものが家であり、人間であり、人間の生活であるからだが、原始的な農家は、 私の気ままな暮らしを許してくれる。三十年近くの間、よく堪えてくれたと有りがたく思っている。縁あって (P…

『倉本聰の世界』

… 東京をはなれたこの土地に根を下ろしながら色々なことを経験した。何よりも此処に暮らしてみて人間関係の輪を拡げる中で最も切実に感じることは、此処には生活を金で買わない人々がまだまだ生きているということであった。 僕らは東京(都会)の暮らしの中で不便さを金で解消しようとする。何か困ったことが起きた時、それを、誰かに、金を払って解決してもらう。そういう生活に 馴らされてしまっている。一つの困難に遭遇した時、僕らは簡単にあきらめる。あきらめ、誰かに頼ろうとする。しかしこっちの人々は頼…

三浦展『ファスト風土化する日本』

大量の自動車が絶え間なく走る幹線道路の風景は、流動性と不安定性そのものである。p48ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)posted with amazlet at 13.11.09三浦 展 洋泉社 売り上げランキング: 155,403Amazon.co.jpで詳細を見る

中沢新一『アースダイバー』

…世の豊かな現実はつくられている、と教えてきた。 その意味で、東京タワーはその存在自体が、ひとつの生きた宗教的思考なのである。この鉄塔は、芝のこの土地に建てられなければならない必然性があった。そしてマダム・タッソー系の蝋人形が置かれるのに最適の空間を、東京に探すとしたら、やはりこの塔の内部につきるのではないだろうか。アースダイバーposted with amazlet at 13.09.23中沢 新一 講談社 売り上げランキング: 9,394Amazon.co.jpで詳細を見る

細馬宏通『浅草十二階』

…時に外物であることを確認する。塔から覗き、まなざすことで逆にまなざされ、実境へと下りおりる。塔とは、そのような感覚と思考の垂直運動である。 塔のまなざし、それは、自らのまなざしによって相手のまなざしを生む詐術でもある。塔のまなざしを手放さぬ限り、世界からのまなざしに出会うことはない。 浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざしposted with amazlet at 13.09.23細馬 宏通 青土社 売り上げランキング: 361,760Amazon.co.jpで詳細を見る