『古墳時代の工芸』

鏡の制作技法の研究は、多くの研究者によって考察されている。大きくみると直接型から鏡を鋳出す直笵鋳成法と、母型翻写笵鋳成法の二つが考えられる。直笵鋳成法は、石や土に文様を陰刻する方法である。仿製三角縁神獣鏡にみられる笵の補刻や修正は、石製では不可能と思われ、土の補填可能な土型であったと思われる。元来、土型は鋳造時に笵が破壊してしまい、複数の鏡、すなわち同笵鏡は作れないとされているが、先述のように、古代の工人は、壊れた笵を接合し、補修することで複数鋳造を可能にしたのである。(八賀晋

古墳時代の工芸 (古代史復元)

講談社
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