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E.J.ラッセル『土壌の世界』

土壌は外見的に固体の密集したかたまりにみえるが、事実はそうではなく、全容積の約1/2のみが固体であり、残りは孔隙で空気と水で満たされている。孔隙 は孔や微細な通路や肉眼的に見えぬ裂け目に分かれているので全貌をそのまま正確に知ることはできない。これらの孔隙の小さな部分は水で満たされ、一方大き な部分は空気で満たされている。このような土壌空気は、拡散が迅速に起こるために、大気とほぼ同程度の酸素を含んでいるが、大気よりも多くの炭酸ガスを含 み、水蒸気で飽和されている。土壌水は、溶解…

水上勉『土を喰う日々』

…しがたい味になっている。和風即製チョコレートとでもいっていいか。似たものに、小布施の落雁の味があるが、あれは栗が材料だから、柿の甘さにはかなわない。黒砂糖をこねたようなねっとりした甘味なので、子供にもよろこばれようし、大人ももちろんうれしいのである。渋の少しのこっているところも野味だ。土を喰う日々―わが精進十二ヵ月 (新潮文庫)posted with amazlet at 13.11.12水上 勉 新潮社 売り上げランキング: 14,158Amazon.co.jpで詳細を見る

金子美登『いのちを守る農場から』

土に微生物の食べ物とすむ家を与えてやること。近代農業は微生物に食べ物も家も与えないで、地上の実だけを取ろうとしています。さらにそのうえに農薬ですから、踏んだり蹴ったりの農法なのです。体の半分が炭素でできているバクテリアは、化学肥料のN・P・Kを与えても増えません。落ち葉や稲わら、家畜糞などの有機物、炭素を含んだものを与えてやること。そうすれば彼らはまことに正直で、いねむりもせずに20分で倍になります。しかも、バクテリアの出す成分や、増えて自己分解したものを吸収した農作物は、味…

『左官回話』

土にある一番の魅力はたぶんその脆さですわ。脆いのに美しい。 (小林隆男)左官回話 11人の職人と美術家の対話posted with amazlet at 13.10.31株式会社 包(パオ) 売り上げランキング: 551,821Amazon.co.jpで詳細を見る

荒俣宏『アラマタ美術誌』

…させられるところを、土の人形によってそのシステムを変換した。つまり近代化したわけですね。この作業を担ったのが、左官屋さんの元祖なんです。つまり、ハニワこそは『鏝絵』の元祖なのです。人の命に代わる『飾り』なのです。彼らはうわべを飾 ることにより、人の無駄死にを救ったんです。それだけではない。子孫にとって一番重要な、霊を送る、鎮める儀式の大きなシステムを作った人なんです。これ が左官なんです。一見したところ壁を塗ってるだけなんだけれども。ルーツを辿るとたいへん古い、しかもマジカル…

白洲正子『縁あって』

…る。 牛が住んでいた土間を、洋間に直して、居間兼応接間にした。床の間のある座敷が寝室に、隠居部屋が私の書斎に、蚕室が子供部屋に変わった。子供たちも大人になり、それぞれ家庭を持ったので、今では週末に来て、泊まる部屋になっている。あ くまでもそれは今この瞬間のことで、明日はまたどうなるかわからない。そういうものが家であり、人間であり、人間の生活であるからだが、原始的な農家は、 私の気ままな暮らしを許してくれる。三十年近くの間、よく堪えてくれたと有りがたく思っている。縁あって (P…

『倉本聰の世界』

… 東京をはなれたこの土地に根を下ろしながら色々なことを経験した。何よりも此処に暮らしてみて人間関係の輪を拡げる中で最も切実に感じることは、此処には生活を金で買わない人々がまだまだ生きているということであった。 僕らは東京(都会)の暮らしの中で不便さを金で解消しようとする。何か困ったことが起きた時、それを、誰かに、金を払って解決してもらう。そういう生活に 馴らされてしまっている。一つの困難に遭遇した時、僕らは簡単にあきらめる。あきらめ、誰かに頼ろうとする。しかしこっちの人々は頼…

三浦展『ファスト風土化する日本』

大量の自動車が絶え間なく走る幹線道路の風景は、流動性と不安定性そのものである。p48ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)posted with amazlet at 13.11.09三浦 展 洋泉社 売り上げランキング: 155,403Amazon.co.jpで詳細を見る

中沢新一『アースダイバー』

…世の豊かな現実はつくられている、と教えてきた。 その意味で、東京タワーはその存在自体が、ひとつの生きた宗教的思考なのである。この鉄塔は、芝のこの土地に建てられなければならない必然性があった。そしてマダム・タッソー系の蝋人形が置かれるのに最適の空間を、東京に探すとしたら、やはりこの塔の内部につきるのではないだろうか。アースダイバーposted with amazlet at 13.09.23中沢 新一 講談社 売り上げランキング: 9,394Amazon.co.jpで詳細を見る

細馬宏通『浅草十二階』

…時に外物であることを確認する。塔から覗き、まなざすことで逆にまなざされ、実境へと下りおりる。塔とは、そのような感覚と思考の垂直運動である。 塔のまなざし、それは、自らのまなざしによって相手のまなざしを生む詐術でもある。塔のまなざしを手放さぬ限り、世界からのまなざしに出会うことはない。 浅草十二階 塔の眺めと〈近代〉のまなざしposted with amazlet at 13.09.23細馬 宏通 青土社 売り上げランキング: 361,760Amazon.co.jpで詳細を見る