日 の検索結果:

丸山 眞男『日本の思想』

…身のなかに巣食う偏見から もっとも自由でないことがまれではないのです。逆に、自分が「捉われている」ことを痛切に意識し、自分の「偏向」性をいつも見つめている者は、何とかし て、ヨリ自由に物事を認識し判断したいという努力をすることによって、相対的に自由になり得るチャンスに恵まれてることになります。p156 日本の思想 (岩波新書)posted with amazlet at 13.11.12丸山 真男 岩波書店 売り上げランキング: 2,140Amazon.co.jpで詳細を見る

長谷川 堯 『神殿か獄舎か』

…を見る 鈍重で厚い歴史の積層をいつも奇跡として開いたいくつかの、そしてほんのひとにぎりの、美しい神殿建築の実在によって、建築家たちはいまでも、他ならぬ神殿づくりの末裔としての内的な血脈を信じ、その職業への疑惑の刃と非難の矢を、重厚な壁と列柱の陰において、充分な余裕のなかにかわすことができると確信しているのだろうか。そうでないかぎり、すでに形骸となって久しいにもかかわらず、今日依然として私たちのまわりに連綿として登場するその神殿的建築の横溢の理由を説きあかすのは、とても困難だ。

嘉田由紀子『知事は何ができるのか』

…――そう自問自答する日々でもあった。湧き水など自然の水、近い水が暮らしの場から失われることが生活現場でも問題化されることはほとんどなかった。ましてや行政としては、不潔で前近代的な井戸水や湧き水などの水利用を克服し、近代水道を普及することが公的課題でもあり、社会的に税金を投入するべき方向であった。伝統的な水利用文化の喪失が社会的に問題化されることはなかった。 知事は何ができるのか―「日本病」の治療は地域からposted with amazlet at 13.10.24嘉田 由紀…

白洲正子『縁あって』

…来て、泊まる部屋になっている。あ くまでもそれは今この瞬間のことで、明日はまたどうなるかわからない。そういうものが家であり、人間であり、人間の生活であるからだが、原始的な農家は、 私の気ままな暮らしを許してくれる。三十年近くの間、よく堪えてくれたと有りがたく思っている。縁あって (PHP文芸文庫)posted with amazlet at 13.10.25白洲 正子 PHP研究所 (2013-05-17)売り上げランキング: 76,471Amazon.co.jpで詳細を見る

中谷宇吉郎『雪』

…ならぬ。また研究というものは多くの人に諒解され、利用されて、人々の注意が集って更に新しい段階に入ることが出来るのである。今日我国において最も緊急なことは、何事をするにも、正しい科学的精神と態度とをもって為すことが必要であるということであろう。これは何回繰返して言っても過ぎることはないであろうと思われる。 雪 (岩波文庫)posted with amazlet at 13.10.25中谷 宇吉郎 岩波書店 売り上げランキング: 104,755Amazon.co.jpで詳細を見る

新雅史『商店街はなぜ滅びるのか』

…定していた。そして、日本社会のスタンダードな生き方は、サラリーマンの男性と専業主婦の女性だと思っていた。 そして、現実の社会は、わたしの想いと同じ方向に進んでいった。両親のような「地方で商売をする」という生き方がなくなった日本には、安定した自営業がほ とんど存在しなくなった。その結果、わたしの出身地――いや日本全体に、不安定な生き方を余儀なくされた者が残されてしまった。では、正社員にたどり着い ている者が幸せなのか。正社員を基軸にして社会を形成してしまった結果、今の日本に住ん…

三浦展『ファスト風土化する日本』

大量の自動車が絶え間なく走る幹線道路の風景は、流動性と不安定性そのものである。p48ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y)posted with amazlet at 13.11.09三浦 展 洋泉社 売り上げランキング: 155,403Amazon.co.jpで詳細を見る

P・F・ドラッカー『ネクスト・ソサエティ』

…都市がそうだった。今日のアメリカ、そして世界中の大都市そうである。そこでは無法が幅をきかす。 人がコミュニティを必要とすることを最初に指摘したのが、フェルディナンド・テニエスの最高の古典『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト(コミュニティと社会)』(1887年)だった。しかし、テニエスのいう有機的な存在としてのコミュニティは、いまはどこにもない。回復してもいない。 したがって、今日われわれに課された課題は、都市社会にかつて一度も存在したことのないコミュニティを創造することである。…

森 博嗣 『工学部・水柿助教授の日常 』

…話を、より簡潔にわかりやすく整理し、順序立て、無駄を拝し、面白い点は強調して、ストーリィを再構成することにも、特に苦労を感じなかった。奥さんが目を輝かせて聞き入る光景を眺めていられることは、彼にとって非常に有意義な経験だったし、不純なのか純粋なのか微妙なところではあるが、それが水柿君の動機だったのだ。 工学部・水柿助教授の日常posted with amazlet at 13.09.23森 博嗣 幻冬舎 売り上げランキング: 932,705Amazon.co.jpで詳細を見る

宮本常一『忘れられた日本人』

…りしたのものだが、ほめられるうれしさから、だ んだん仕事に根気がでるようになった。草とりの御ほうびといえば、ツバナ、スイバ、イタドリ、イチゴ、野葡萄、グミなどのように田畑のあぜなどに野生して いるものが多かったが、それで十分満足したのである。私がさびしくて家へかえりたくなると、よい声でうたをうたった。忘れられた日本人 (岩波文庫)posted with amazlet at 13.09.23宮本 常一 岩波書店 売り上げランキング: 931Amazon.co.jpで詳細を見る

伊藤ていじ『日本デザイン論』

…た造形の中には、ひとつの特色があった。それは自然が創りだしたものには、どのひとつも同じ形のものはないということである。それはまるで人間の手になる芸術作品のように、どのひとつも同じものがないのによく似ていた。機械が工場で生産するものが、規格化された一定の形をもちうるのとまったく対照的である。日本デザイン論 (SD選書 5)posted with amazlet at 13.09.23伊藤 ていじ 鹿島出版会 売り上げランキング: 79,340Amazon.co.jpで詳細を見る

岩渕潤子『美術館で愛を語る』

私が日本の美術館を嫌悪している、おそらく最大の理由は、多様な価値観の器であるべき美術館が、何か均質的なものを醸し出す装置として、建物やその空間から、いやらしい圧迫感を漂わせているからではないかと思う。 美術館で愛を語る (PHP新書)posted with amazlet at 13.09.23岩渕 潤子 PHP研究所 売り上げランキング: 941,696Amazon.co.jpで詳細を見る